アパートの隣人

2023.1.6

 私が大学病院に入院していた頃、東京のエリートサラリーマンだったと言う男性が入院して来た。

 来た時は青白い顔をしていたが、3日も経つと、何処が病気なのか分からない程に回復していた。

 M君は統合失調症になり、東京のアパートから実家に帰って来たのだ。

 ある時、アパートの隣人の女性の喘ぎ声が酷くて、同期の男性に話してしまったら、その女性はエスパーで、自分の事を話したM君に腹を立てて、M君の人形を作り、針でその人形に刺すとM君の身体にその針が刺さる感覚を味わうと言うのだ。

 その痛みに耐えられないのと、その女性の恨みの念が怖いのとで、堪らなくなり、帰って来たと言うのだ。

 何処から何処まで病気なのかは分からない。

 エスパーの為せる技なのか、エスパーと思うところが既に病気なのかは分からない。

 精神病にはそんな不思議な事がある。

 当時、付きあっていた年下の男の子は幽霊に身体を支配されたと言っていた。

 医者は分かっているのに、隠すかの様に

「それは幻覚です」

と言うが、病気では考えられない事があるから、不思議だ。

 臨死体験をした人のお話しとか、私自身も同じ体験をしたので、何とも言えない。

 医学では説明が付かない事が多数ある。

 そんな、あの世を見た人が精神科にはたくさん居る。

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