2023.1.22
良く医者は看護師と結婚するが、精神科医に関しては患者が多い。
他の科より話す事が多いから、患者が医者を好きになったり、また、逆もある。
私は強制退院させられた次の日に救急車で病院に運ばれた。
当直はM先生だった。
前に入院していたのでM先生は私の事を知っていた。
パニックになった私は救急室から走って出ようとすると、肩を捕まれ
「今日は何とか眠りなさい。明日もたえなさい。明後日、J先生が当直だから、明後日、救急車でまた、来なさい。それまで、何とか生き延びなさい」
と言われて、我に返った。
そのままならば私は死んでいたと思う。
何処にも行けなくて、生きているのも辛くなり、パニックになった私の肩を掴んで止めてくれたM先生を好きになってしまった。
死を目の前にした人間がそれを止めてくれた人を好きになるなと言う方が酷である。
しかし、M先生は既婚者でお子さんもいるし、何より大人だった。
私の手紙に
「迷惑です」
と一言返事が来た。
これが悪い男なら、遊んでやるかとなるところだが、M先生は誠実だった。
断られて、益々好きになったがそれは尊敬の念に変わった。
振られたけれど、逆にスッキリした。
私の父が家庭を省みない人だったので、家族を大切にするM先生を素敵だと思った。
断ってくれてありがとうである。
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