妄想フィアンセ Vol.8

2023.4.3

「ノンちゃん、秋田に帰ったら、J先生に会いたい」

J先生とは私の精神科の主治医である。

「会ってどうするの❓」

「ん~。男同士の話しがしたいんだ」

「男同士の話しって❓」

俊彦は水を飲んでから、私に向き合った。

「ノンちゃんの病気の事。真剣に考えたいんだ。俺で治せるとは思ってないけど、少しでも力になるにはどうしたら良いかを訊きたいんだ❗」

俊彦の目がキラリと光った。

「そんなの私で何とかするよ」

と私はうつむいた。

「この前、ストーカーに遭った男性が亡くなったって言ってたよね。その事を含めて専門家に訊きたいんだ。俺が注意する点は何処かを」

「分かったけど、今週の金曜日に診察に行くから、空いてる❓」

俊彦はMacの電源を入れた。

「4月の7日な。コンサートが6日にあるから、終わったら、秋田に行くよ」

「無理しなくてもいいんだよ」

「いや、こういう事は早い方が良いからな」

と、俊彦はスケジュールに印を入れた。

      ・・・・・・続く

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