妄想フィアンセ Vol.13

2023.4.5

 俊彦はギターを自宅に置かない。恋人と同じで、常に側にいると、慣れて飽きが出てくるのを避ける為である。

 それとは違って坂崎幸之助は常にギターを抱えている。普通にラジオの時でも、ギターが無いと落ち着かないらしい。根っからのギター小僧である。

 東京に着いたら、ライブツアーのリハーサルが待っている。

 俊彦は飛行機で少し眠った。

 その頃、私は青函トンネルを通っていた。ムシムシする暑さだ。トンネルの中は暗いが駅がある。私はそれを眺めながら、俊彦がくれた5月17日に発売される「鋼の騎士Q」のCDを聴いていた。

 「50年か・・・・・・」

と、私は思った。

 1973年にアルフィーが結成されて、翌年の74年にデビュー。

私が71年産まれなので、どれだけ凄いか、言葉には簡単に出来ない。俊彦は言っていた。

「良く、仲が悪い方がバンドに取って良いんだと、周りは言ったけど、それだけは俺は違うって言って来た。仲が良くて、何が悪いのって❗」

 アルフィーが若い頃にはバンドは解散するのが美学とされた。

アルフィーは先輩ガロの大野真澄に、メンバー同志良く話した方が良いとアドバイスされていた。俊彦はそのコミュニケーションが良かったのだと思っている。だからこそ、50年も続いたんだと。それだけは自信を持って言えると。

 俊彦は着陸と同時に目が覚めた。

「あれっ❓鋼鉄の巨人ってFからだっけ⁉️」

俊彦よ❗それはGmからである。

      ・・・・・・続く

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