2023.4.6
俊彦はリハーサルスタジオに入った。珍しく桜井賢(まさる)が遅れているとの事。
スタッフは
「桜井さんに何かあったんですかね~❓」
と、ざわついていた。
何時も遅刻する俊彦には心配しないのにだ。
「なら、太郎、タム回して❗」
と、ドラムの吉田太郎に俊彦は指示を出す。
それに坂崎がギターを乗せる。
アルフィーは7~8時間はリハーサルする。他のバンドはせいぜい2~3時間だ。オマケにコントまでやるのだから。台本は俊彦の担当である。
何時も唸っている時はオチに苦戦している時である。曲創り以上に悩む。
独りでブツブツ言いながら
「これじゃ、ドリフに勝てない」
だの
「これじゃ、サンちゃんに負ける」
だの、必死である。
俊彦始めアルフィーが何故、こんなにコントに拘るか❓
やるならば徹底して、やろうと言う気構えである。ミュージシャンの自分たちがお笑い芸人をバカに出来ないからだ。
だから、着ぐるみも難なく着る。受ける為には何でもやる。
売れ無い時に自分たちの歌を聴いてもらえなかった。坂崎幸之助が笑いを取り、こちらを向いた時に歌を聴かせる手法しかなかった。
今の若いバンドみたいに
「俺たちは音楽だけで勝負します」
なんて、贅沢な事は言えなかった。誰も聴いてくれなくちゃ話しにならない。振り向いて貰える為に笑いを取るしかアルフィーは道がなかった。
それに笑いを取った位で駄目になる音楽をやってはいないと言う自信があったのだ。
・・・・・・続く
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