妄想フィアンセ Vol.16

2023.4.7

 4月7日。あいにくの雨降りだ。13時50分にピンポンが鳴った。4回である。俊彦だ。4回鳴らすと二人で決めていた。

 私は鍵を開けて俊彦に抱きついた。俊彦は

「ちょっと、待て❗」

と、慌てていた。

「訪問看護師さんもヘルパーさんもいないから」

に俊彦は

「3時に行くんだろ❓」

と言った。

「少し、休んで行って。疲れたでしょ⁉️コーヒー入れるね」

 俊彦は靴を脱いで入った。

私はお湯を沸かして、インスタントコーヒーを入れた。

そして、思い付いた様に

「私、俊彦の小説好きよ。だって、女性が自由なんだもの」

と、カフェ・オレを飲みながら言った。俊彦は

「だって、俺たち男よりも女性の方がずっと進んでいたからな。教わる事ばっかだったよ。それに、勇気も女性の方があるし、そりゃ、男が女性を守らなくっちゃいけないとは思うよ。でも、女性に敵わんからな~」

と、俊彦は唸った。私は

「煙草吸っていい❓」

と訊いた。

「どうぞ~」

と、俊彦は言った。私は窓を開けて、メビウスのオリジナルロングに火を付けた。

吐いた煙を窓に向かって気にしながら、吸う。

俊彦は禁煙してから、35年になるし、喉をケアしているから、私なりの精一杯の努力である。

「止めないとね」

と、私は言った。

「桜井みたいに、禁煙して、ストレスぶつけられるより、吸っていた方がいいよ」

と、俊彦は笑った。

 タクシーがpm3時に着いた。

さぁ、これから、俊彦とJ先生の男の話し合いである。

      ・・・・・・続く

コメントを残す