妄想フィアンセ Vol.18

2023.4.8

 私は一旦、診察室を出た。二人は何を話しているのだろう。

 俊彦はJ先生に

「ぶっちゃけ、のぞ美さんを好きにならないのでしょうか❓」

に、J先生は吹き出し

「それは28年も診ていたのですから、転移性恋愛と言うのはご存知ですか❓」

「はぁー、患者がお医者さんに恋愛感情を抱くという・・・・・・」

「まぁ、そういう事はありましたが、ご安心下さい。何もないです」

「のぞ美さんを好きにはならないと❓」

「医者として、致命的ですからね」

に俊彦は続けた。

「のぞ美さんの病名は❓」

「教えて大丈夫ですか❓」

とJ先生はカルテを見ながら言った。

「はい。真剣にお付き合いしているので」

「情緒不安定人格障害です。よく、ボーダーラインと言われます。後、解離性人格障害と、発達障害と、パニック障害と、双曲性障害と・・・・・・」

「まだ、あるのですか❓」

J先生は俊彦を見つめて

「殆どの精神の疾病があります。それに、ボーダーラインの女性は男性を振り回します。けっして、慌てふためいてはいけません」

 俊彦は頭を掻きながら

「パニック障害と鬱だけじゃないんだ~」

「お付き合いするにはそれなりに覚悟がいります」

「僕はどこに、気を付けたら宜しいのでしょうか❓」

に先生Jは

「無償の愛を与えなくてはいけません。生半可に近付いてはいけません」

に先生Jは続けた。

「殺されるか、死なれてしまうか、覚悟が必要です。さっきまで、貴方がいないと駄目なのと言ったかと思うと、お前なんか死んじまえと態度が豹変します。それに振り回されずに愛を伝えなくてはなりません。非常に難しいです」

に、俊彦は膝を叩いた。

「任せて下さい❗僕が守ります。のぞ美さんの事を。ストーカーした男性が亡くなったと聞いていますが・・・・・・」

J先生は遠くを見ながら

「警察の方も、元彼女だと勘違いした位ですからね。そう思わせる何かが書かれてあったと推測されます。大丈夫ですか❓」

俊彦は甲高い声で

「過去の事ですから、未来を僕は見ています。薬は止められますか❓アルコール呑むんで心配で・・・・・・」

「いずれ止められるとは思いますが、今はまだ、無理でしょう。失礼ですがご結婚なさるのですか❓」

に、俊彦は

「僕はしたいのですが、のぞ美さんが首を立てに振りません」

と、苦笑いした。

      ・・・・・・続く

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