妄想フィアンセ Vol.28

2023.4.13

 俊彦は久しぶりにマンションへ帰って寝た。

夢を見た。私が背の高い若い男性に髪を引っ張られ、引き摺られて赤々とした炎の中に行く所を。俊彦は

「ノンちゃん‼️」

と、呼ぶと、その背の高い男が振り返り

「のぞ美さんは俺のものだ❗」

と、大地が揺れる程の響く声で言った。俊彦は

「お前のものじゃない❗ノンちゃんは誰のものでもない。早まるな❗ノンちゃんはまだ、そっちの世界には行かないんだよ。まだ、こっちの世界なんだ。気持ちは分かるけど、ノンちゃんは誰のものでもないんだ。返してくれ❗」

に、その男は

「お前には渡さない」

俊彦は負けじと

「俺たちは想い合っているんだ。俺はノンちゃんが大事なんだ❗返してくれ❗」

と、叫んだ。そこで、俊彦は目が覚めた。

びっしょり汗をかいている。

 その男は清春みたいな顔をしていた。俊彦はスマートフォンを取り、私に電話を掛けた。

 私は丁度、訪問看護師のまみさんと話していた。私は電話に出て

「今、訪問看護師さんが来ている」

と伝えた。俊彦は私に何もなかったのを安心した。夢の話しは私にしないでおこうと思った。

 俊彦は冷蔵庫から、クリスタルガイザーを出して飲んだ。

      ・・・・・・続く

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