妄想フィアンセ Vol.32

2023.4.15

 ライブは幸ちゃんを中心に大成功に終わった。

私は楽屋に入って、桜井が乾杯の挨拶をし、坂崎がケーキの蝋燭を吹き消した。

 坂崎が私に手招きして

「中田のぞ美さんです。なんと明日お誕生日です❗そして、17日は高見沢の誕生日です」

に私は

「前から後ろから、別に深い意味はございません」

にスタッフは大笑いだった。

 私はシャンパンを一杯飲んだが俊彦はオレンジジュースだ。

「飲まないの❓」

「うん。これから、ドライブ行かないか❓レンタカー借りてるからさ」

に、私は疲れないのか心配した。

「ノンちゃんこそ、長旅で疲れてないのか❓」

に、私は今日のライブで疲れが吹っ飛んだと伝えると、俊彦は笑った。

 ドライブで日本平に行く。日本平は淡い痛みがある所だった。俊彦がFRIDAYされた日の野外ライブだったからだ。

 私は

「過去、過去」

と、呟くと俊彦が

「どうした❓」

と訊いて来たので、その事を話した。俊彦は

「彼女でも何でもないよ。しかし、俺が悪かったんだけどな」

と、当時真剣に交際していた、彼女以外に女性に車を貸してそれを撮られたのを聞いた。

彼女はその時には既に違う男性に心を奪われていて、後に別れる事になったが。私は

「よそ見しちゃ駄目じゃない❓もしかしたら、その彼女と結ばれていたかもよ」

と、言った。俊彦はカーブをゆっくり安全運転で曲がりながら

「どっちにしろ、別れる運命だったんだよ」

と、言った。

 車を止めて、二人で星を眺めた。

「あっ、流れ星❗」

と、俊彦は手を合わせて

「ノンちゃんとこうして一緒にいられますように」

と祈った。

コメントを残す