妄想フィアンセ Vol.38

2023.4.19

 その夜は俊彦と私は手を繋いで寝た。

俊彦はまた、夢を見た。

また、あの背の高い男の子が、私の髪を引っ張って歩いて行く。俊彦はその手を掴んで、私から離そうとしたが、何とも固いし、その手は火のように熱かった。

「触るな~❗」

と、その男の子は言った。

 俊彦は

「どうしても、ノンちゃんを連れて行きたいなら、俺も連れてってよ」

に、その男の子は首を傾げた。

 そして、私は意識が無いまま、涙が出た。その滴がその男の子の手に当たると、氷って行ったのだ。

 そして、氷が粉々に砕けて、天に舞った。

 俊彦は私を抱き抱えて石で出来ていた階段を降りた。

 そこで目が覚めた。私は魘されていた。俊彦は

「ノンちゃん‼️」

と、揺すって私は起きた。私は

「どうしたの❓」

「どうしたのじゃないよ。魘されていたから・・・・・・」

私は記憶が無かった。枕には私の髪の毛が20本位付いていた。

 夢なのか、現実なのか、俊彦はその髪の毛を掴んだ。

そして、自分の見た夢を私に話した。私は

「多分、夢じゃないと思う。最近、また、金縛りに合うの。誰かに見られている気がして、怖い・・・・・・」

「でも、その男の子砕けたから、もう大丈夫だよ」

と、俊彦は言った。

私は不安だった。

「それにしても、私に出て来ないでどうして俊彦の夢に出るんだろう❓どこまでも、卑怯な子」

私はその男の子の写真は全て捨てて焼いていた。

 人の念は怖いものである。

俊彦は手を合わせた。

      ・・・・・・続く

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