妄想フィアンセ Vol.43

2023.4.24

 3日後、飛行機と武道館のチケットが俊彦から送られて来た。ただ一言「待っている」と書いてあった。

 12月24日の午後1時のフライトだった。

 私は何十年ぶりの飛行機に興奮した。

 東京へ着くと、中田のぞ美さんと書いてある画用紙を広げた30代くらいの男性が立っていた。近付き

「中田のぞ美と申しますが・・・・・・」

「あっ、私、アルフィーのマネージャーの岩谷と申します。お迎えに参りました。お疲れでしょう。こちらへ、車で武道館まで送りますので」

と、185cmはあるだろう、細身の男性が案内してくれた。

「こちらをどうぞ」

と、ウーロン茶とバックステージパスを渡された。

 武道館の楽屋入り口に入り、岩谷に案内されて、部屋へ入る。

 俊彦が立っていた。

「来てくれて、ありがとう❗」

「こちらこそ。これを皆さんに」

と、稲庭うどんをあげた。

「気遣わなくていいよ。でも、ありがとう❗俺、大好きなんだ。坂崎と桜井に会わせるな」

と、二人で部屋を出て行き、リハーサルの舞台に行くと、坂崎、桜井、キーボードのただすけと、ドラムの吉田太郎がいた。まさにTHE ALFEE‼️

 一人づつに挨拶した。皆、フレンドリーで何よりだった。

 その日はクリスマスイブでお客様も大盛り上がりで終わった。

 私は俊彦とイタリアンレストランでディナーをした。その為、俊彦は打ち上げに参加しなかったから、私は悪い気がして謝った。

「いいんだよ。みんなに言ってあるし、折角、秋田から来てくれたんだから」

 私は今、病気で仕事が出来ない事、父も母も他界した事、独身な事、小6から俊彦が好きだった事を話した。俊彦は

「責任重大だな」

「勝手に好きになったんだから、気にしないで・・・・・・」

「俺の家に泊めてあげたいけど、嫌だと思ったから、丸の内ホテルしか、今、予約取れなくて、そのホテルまで送るな」

と、私は丸の内ホテルへ宿泊し、俊彦は自宅へと戻った。

 私は何もなくて、逆に安心した。俊彦は直ぐに手を出す男ではなかったのが嬉しかった。

 次の日、秋田へ戻った。

      ・・・・・・続く

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