「アタシの悲しみは今日で終わり」

2024.10.18

 草間彌生さんの本を読んだ。

私は芸術家としてしか知らなかったが、小説家でもある。

“クリストファー男娼窟”という小説の2昨目の”離人カーテンの囚人”を読んで、自分が男嫌いで、産まれた事を悔やんでいた事を思い出して、哭いてしまった。

 自伝の”無限の網”を少し読んだが、草間彌生さんも、男というか、セックスが男根が恐怖だったと話していた。

 セックスは恥ずかしいと植え付けられるのに、女性は門限がどうだとかお見合い結婚が良いだとか、女性ばかり窮屈に生きろ❗と圧力を掛けられる。

 だから、怖い男根をたくさん描いて、その上に自分が寝て「消滅」させる為にあのたくさんの水玉模様を描いたと言って、私は納得が行った。

 怖いモノを作って、自分の身に纏ったら、怖くなくなるという発想からである。

 まだ、自伝は全て読んではいないが、私と同じ感覚を男に持っているのが解る。

 ”離人カーテンの囚人”はキーコという女の子のお父さんは女癖が悪く、子供たちを養うどころか邪魔扱いで、お母さんはお父さんに惚れているけど、いつも喧嘩ばかりで、5人の子供たちに

「あなたなんか産まれて来なければ良かったのよ❗」

と、自分の満たされない心を特にキーコにぶつけて、アザだらけで、父親の浮気相手の女の居場所をキーコたちに探させる。

 妹は知恵遅れでいつもキーコがご飯を持って行く。

 自分の父親と愛人のセックスを見ている間にキーコは初潮を迎えるが、自分の母親に言っても、逆に迷惑がられる事は重々承知で、気分が重いし、父親と愛人のセックスを見てしまったキーコはかなりのショックを受ける。

 キーコは青春なんていらないし、大人になることが淋病の間を避妊しないで、子供たちが産まれ、大人たちは情欲ばかりで、失敗作を減らす為に戦争が起こり人が死んで行くのだと思ってしまう。

 弟との会話で

「産まれて来た事が間違いだったんだよ❗」

と、子供たちは納得する。

 その離人とは私が小学6年の頃辺りからあった現象と同じだったから、幼い頃の心の傷が一気にフラッシュバックして来たから、読み進めるのが辛かったが、最後が知りたいと何とか読んだ。

 予想通り、キーコは列車に跳ねられて、あの世に行った。

 その前に身ごもった母犬が車にひかれたのを人間たちが踏みつけていたのを見る。

 キーコは列車にメンスの血か、自分の引き裂かれた血か分からない位になってしまった。

 キーコの死体を数えた人が

「二十七個にも砕けたんだ」

と言った。

 幻の老婆がキーコに

「あなたの悲しみは今日で終わり」

で、その物語は終わった。

 私も丁度、大人の身体になった時、私の父が愛人を作って、家を出て行った。

 別れると、戻って来て、暴れたが、また、愛人が出来ると、家を出て行ったの繰り返しだった。

 二階建ての一軒家のローンは一円も入れなくなった。

 家計は火の車だった。

 バカな人間は

「だったら、家を出て行って、安いアパートに母と娘で住めばいい❗」

と、言うだろうが、母は正当な妻として、不倫をした父に二階建ての一軒家と慰謝料と不倫をした愛人たちに慰謝料を請求した。

 法律が分かっている方ならば当たり前の要求である。

 しかし、不倫する人間たちは幼稚だから

「お金が無い」

で済ませてしまう。

 正当な妻が

「許せません❗」

と、言ったら、前科一犯に出来るが、母はそこまで追い詰める事が出来ないで、裁判貧乏でもあった。

 ある男性に

「あんた、ファザコンだろう❓」

と、言われたが、10何人きょうだいの一人娘よりも、本当の一人娘だから、影響はかなりある。

 正直、父に愛人が出来た時、「男親でも、一人娘を捨てるんだ❗」

と、男が信じられなくなった。

 元々、結婚願望はなかったが、男という生き物は手に取るように分かるようになってしまった。

 だから、告白して来た男たちの中身が丸見えだから、全てフッたし、ストーカーばかり、幼い頃から遭っているから、益々、男というモノが嫌いであるし、大した男じゃ無いヤツに限って、社会で威張り散らすが、私には関係無いヤツだから、無視をした。

 一応、社会人として、挨拶してあげているだけである。

 そのような、私の家庭と私の心が不安定な時に現れたのが、高見澤俊彦だった。

 小学6年の私は

「この人ならば私は一緒に居ても安心出来る」

と、直感だった。

 そして、夫婦喧嘩がたえない時はヘッドフォンでアルフィーのアルバムを大音量で聴いて、歌の世界に入るしか私にはなかった。

 父と高見澤俊彦の年齢差は6歳だから、第二の父、或いは本当に愛してくれる男性をその時から求めていたのだろう。

 キーコのように、私もその時にこの世から去っていたら、大人になる度に男たちに酷い事をされずに済んだと思うと同時に、あのような父を持ったから、会った瞬間に男たちが丸見えが故、お付き合いしていただいた男性たちは全て素晴らしい人だったし、変な男に弄ばれずに済んだのかも知れない。

 しかし、矢張、未だに男性たちは苦手である。

 私はキーコになれなかったから、生きにくいけど、人生が続く限り生きて行かなくては行けないが、今日は

「アタシの悲しみは今日で終わり」

と、自分に言ってあげたい。

 久しぶりにキツイ物語だった。

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