父と最後の年末

2024.12.31

 今年、41年ぶりにアルフィーが紅白歌合戦に出る。

 私は正直、毎年は観ない。

 41年ぶりに紅白を観る。

それを何故、覚えているかというと、アルフィーが紅白で、メリーアンで出るから、父と一緒に観た。

 それが父と一緒に年末を過ごした最後だった。

 今は違うが、当時は出身地が出ていた。

 私の父が

「高見沢君❗蕨市産まれなんだ❗ノン❗蕨って、日本で一番小さい市で昔、ある武将が藁で火を燃やした当て字で蕨というんだよ❗」

と、教えてくれた。

 私はテレビの前で蕨と見て、草の名前の市があるのだ❓と驚いたし、俊彦が若い頃、出身地を訊かれると、良く

「浜っ子❗」

と、嘘を付くしかなかったという苦労が分かった。

 あのルックスで埼玉県蕨市とはなかなか言いにくいだろうから。

 父と最後の年末になったのは多分、年が明けたら愛人が出来たので、家を出て行ったからである。

 だから、私は父に用事があると、父の勤めるホテルに行って、用事を伝えていた。

 家を出て行った父に対しての憎しみと、人間としては尊敬出来る両極端の感情は誰にも伝えられなかった。

 自分の心を自分でどう表情したら良いのか分からないし、私と同じ人は学校には誰一人として居なかったから、話しても、誰も分からないからである。

 担任の先生にも、校長先生にも仲の良い友達にすら言えなかったから、シングルマザーの子供の方が私からすると幸せに見えた。

 だから、今年、41年ぶりの紅白をアルフィーだけ観る。

 違うのは父も母も居なく、私独りな事だけである。

 歌うのは星空のディスタンスである。

 あの歌はキーが高いのだ。そして、ギターソロで転調する。

 あのドラムが叩けると殆どの歌のドラムが叩けると言われるから、聴きやすいようだが、難易度は高い。

 出番を知ったら、後半だという。

 藤井風君の次に期待するアーティストに入った❗

 50年やっていて、初めてライヴに来る人が多いバンドはアルフィーだけだろう。

「41年ぶりだから、初めても同然❗」

と、言っている❗

 今年は写真の両親とアルフィーを観ようと思う。

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