2025.2.21
私の通っていた高校はアルバイト禁止でした。
アルバイトがしたければ、親に一筆書いてもらい、担任の先生、副担任の先生、生活指導部の先生、教頭先生、校長先生の全ての印をもらって、アルバイト証明書を作ってもらった生徒しか、その証明書を持って、アルバイトの面接が出来ないという厳しい学校でした。
どのような生徒がアルバイトの許可がおりるかと申しますと、生活保護の生徒だけです。
しかし、私の家は片親や生活保護の生徒よりも、火の車でしたが、母も本当の理由は書けず、私も言えず、許可がおりませんでしたが、あるハンバーガーショップなら、許可証がなくても、私の高校でも雇ってくれると聞き、そのハンバーガーショップの面接に行きました。
私は店長に
「ハンバーガーを作る方を希望です。レジはやりたくありません❗」
と、言ったのに、面接には合格致しましたが、やりたくなかったレジ担任でした。
私は話が違うと思いながら、レジのアルバイトを致しました。
正直、高校1年生で自分が如何に世間知らずかを痛感させられました。
ある女性のお客様に
「〇〇バーガー、ピクルス抜きで」
と、言われて、ピクルスの意味が分からなかった私ですが、お客様に言われたとおり、ハンバーガーを作る担任の人に
「〇〇バーガー、ワン❗ピクルス抜きです❗」
と、オーダーを通したのですが、お客様が帰り際に
「ピクルス抜きと頼んだのに、ピクルスが入っていたわよ」
と、言って、ピクルスとはハンバーガーの中に入ってある、キュウリの漬物だという事をようやく知りました。
そして、シェークの注文が入った時、私は一番困りました。
シェークはソフトクリームをカンに入れて、ストロベリーシェークならばストロベリーの味の液体を入れて、突っ込んだら、自動で回る器具に差し込むと、自動でシェークになるのですが、私が何回やっても、シェークにはならず、ジュースになってしまうのです。
そして、ある日、その日に限ってホットコーヒーが大量に出ました。
コーヒーメーカーを見ると後、残り2杯。
私は間に合わないと感じ、一度もコーヒーメーカーを使った事がなかったので、全てが出たコーヒーの粉を新しいのに入れ替えて、スイッチを押したら、案の定、2杯分が溢れて来たので、慌てて、出て来るコーヒーを近くにあった紙コップを置いていたら、ずっと私を見ていた、男性サラリーマン、二人組がゲラゲラ笑っておりました。
正直、私がアルバイトをした理由は自分の食費ぐらい自分で何とかしたかったし、バンド活動はお金が掛かるのです。
ギターの弦が切れたら、1本だけでも、お金が無い時は仕方なく1本だけ代えますが、残りの弦がもしかしたら1カ月前の弦だったら、耳の良い人には1本だけ、音が違うと気付かれてしまいますから、出来れば、全て同じ時期に代えた方が音が同じくなるのです。
そして、ピック1枚、100円です。50円のピックもありましたが、私は指が全て覆い被せる100円のピックでは無いと、弾きにくくて、嫌なのです。
そして、ライヴをすると
「ピック下さい❗」
と、寄って来た人々にピックをあげなくてはいけないので、30枚から50枚は買うので、3000円は軽く飛んでしまいますし、バンドメンバーで練習するのにスタジオ代もかかります。
昔はお金が無い人に一枚の下敷きを買って、ピックの形に切り取る方法や弦を熱湯に浸けると長持ちするという方法がございましたが、下敷きは矢張、ピックで弾くのとは音が違いますし、今の時代は安い弦も売られておりますから、ガス代に比べたら、皆さんしなくなりました。
他の女子高生のアルバイトの理由は彼氏とデートする時、可愛い服が買いたいが理由ですので、私とは全く違います。
そして、どうして店長が私をレジにしたのかが分かりました。
私がレジに立つと何故か男性サラリーマン達がやって来るのです。
周りの全ての女子高生は彼氏がおりましたが、殆どが同い年の男子高校生。後、ヤンキー上がりの19歳の一応、社会人の男性ですが、私を目当てに来る男性達は最低でも課長クラス以上の大人の男性です。
始めはハンバーガーショップはお金が余り無い男子中学生や学校帰りに小腹が空いた男子高校生ぐらいなのに、大人の男性達が社員食堂に行くのが普通なのに、何故、お昼ご飯にわざわざハンバーガーを食べるのだろう❓と不思議に思っていたら、私がレジに立つ時だけ、大人の男性達がやって来るので、私を茶化したいだけの理由でイイ大人の男性達がやって来るのか❗と半ば呆れてしまいました。
店長の思惑通り、客寄せパンダ作戦は大成功です。
周りの女子高生にしたら、一番仕事が出来ない癖に一番目立つ私が気に入らない訳がなく、女子高生からは虐めを受けるし、大人の男性たちからは茶化されるは踏んだり蹴ったりでした。
しかし、ある年上の女性も始めのウチは私の悪口を言っていたのですが、二人きりになった時
「中田さんだけ、誰の悪口も言わずに一生懸命頑張っているわね❗」
と、夏休みだけのアルバイトの終わり頃に言ってもらえました。
見ていてくれる人は必ず何処かで誰かが見ているのだ❗と、分かっただけでも、このアルバイトは私にとって、価値ある経験でした。
それに店長の思惑通りの客寄せパンダの役割はしっかり果たしたのですから。
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