2023.4.10
俊彦は
「一緒に暮らそう」
と、私に言ったが、私は首を横に振った。どうしても、結婚や同棲はしたくはなかった。
私は我が儘だろうし、可愛げが無いだろう。
俊彦は
「ストーカーからも守れるしさ」
と、呟いた。
一方、私にストーカーした男の子の家は売りに出されていた。破格の安さで。所謂、事故物件だ。
その男の子は介護していた父親を亡くして、独りで暮らしていた。私に振られてから、5年経っていたが、好きが憎しみに変わり、手首を切って、血文字で、壁に
「のぞ美 お前をあの世で待っている」
と書いて、死後1カ月後に発見された。
遺体は腐敗していたが、壁の文字はくっきり残っていた。
警察は
「こりゃ、酷いな~❗」
と言いながら
「のぞ美さんって言う人と付き合っていたのか❓」
その子のスマートフォンを復元したら、そこには消させたはずの私のアドレスが残っていた。
壁には私の写真が一面に貼られていた。その男の子の日記帳には
「2022.3.15 今日ものぞ美さんに電話を掛けた。嬉しそうだった」
と書いてあった。私はその子と電話等していない。
警察は私を彼女だと思って、私に電話を掛けて来た。
私は彼女でも何でもないし、ストーカーされて、中央署に届けてありますし、アドレス消させた筈ですがと伝えると、慌てて、申し訳ございませんと言った。
中央署に残された記録を読んだ、山中は
「ただのストーカーだったのか」
に、後藤が
「中田のぞ美さん、死因伺いたいと言っているのですが・・・・・・」
「伝える訳に行かないだろう」
と、壁の文字の事や全てを伝えなかった。
・・・・・・続く
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